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最高裁判所第二小法廷 昭和52年(オ)260号 判決 1977年10月24日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人川添清吉の上告理由第一点について

原審は、原判決挙示の証拠関係に照らし、被上告人が第一審被告富樫孝四郎の上告人に対する本件土地の賃借権譲渡につき明示又は黙示の承諾を与えた事実を認めることはできないとし、所論の点についても判断を示したものと解しうるから、所論の建築許可申請書に被上告人の捺印があるとの間接事実の主張について、明示の判断がなくとも、原判決に所論の違法があるとはいえない(最高裁昭和三八年(オ)第七一〇号同四一年二月一五日第三小法廷判決・裁判集民事八二号三三九頁参照)。論旨は、採用することができない。

同第二点について

所論は、被上告人の第一審被告富樫に対する本件土地賃貸借契約の解除権が時効により消滅した旨の上告人主張につき、原判決の判断遺脱をいうにあるが、賃借権の譲渡又は転貸を承諾しない賃貸人は、賃貸借契約を解除しなくとも、譲受人又は転借人に対しその明渡を求めることができる(最高裁昭和二五年(オ)第八七号同二六年四月二七日第二小法廷判決・民集五巻五号三二五頁、同昭和二五年(オ)第一二五号同二六年五月三一日第一小法廷判決・民集五巻六号三五九頁)のであるから、所論の点は、結論に影響を及ぼさず、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第三点及び第四点について

土地の賃借権を時効取得するためには、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、その用益が賃借の意思に基づくものであることが客観的に表現されているこを要する(最高裁昭和四二年(オ)第九五四号同四三年一〇月八日第三小法廷判決・民集二二巻一〇号二一四五頁)ところ、原審の確定した事実関係のもとにおいては、上告人による本件土地の用益について賃借意思が客観的に表現されたものとはいえないから、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲)

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